親子丼

マスターは店に出勤すると店内の掃除をして賄いの食事をしていた。
この日の賄いは、カップやきそばをライスに乗せてタバスコとマヨネーズをかけて食べたかったのだ。


前の夜に客との会話の中で「カップやきそばを飯に乗せて食べると美味いよね～！」
「うん、わかるわかる！ちょっと汁が下のほうに沈んでそれが飯に染みて美味いんだ～」
なんて会話で盛り上がっていて、この時に「明日はそれを久しぶりに食おう！」と心に誓ったマスターだった(笑)

マスターは仕事で料理をしているのであるが、プライベートではカップ麺やレトルトカレー、スーパーのお惣菜などを食べる事もよくある。
人のためには好んで料理をするのだが自分のためにまで料理をする気になれないのだ、料理人はそういうタイプが多いと聞いた事もある。
目玉焼きはちょっとしたアクセントに乗せてみた。



夜になって営業していると常連客の１人が店に入ってくるなり「マスター、今日は鶏肉ある？」と聞いてきた。
「え？今日は無いけど何が食べたいの？」と聞くと「親子丼！何だか妙にたべたくなっちゃってさ」


「よし！じゃあ焼鳥を串から抜いて有り合わせで作っちゃおうか！」とマスターは準備を始めた。
「まだ今じゃなくて、ある程度飲んでからアガリで食べたいんだけどね」


それから彼は、シーフードのアヒージョやサラダを食べながら暫く飲んで雑談した後に「そろそろ親子丼を食べようかな？」と言ったので
マスターは甘さを控えめに味付けして半熟玉子でとじた親子丼を彼に出した。

「美味えぇ～！この甘さ控えめの感じが丁度いいんだよね～」と彼は親子丼を無心に食べて満足して帰っていった。



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